新型コロナウイルスに伴う、保健衛生と水災害に対するリスク管理強化を専門家グループが要請

News Release | 2020年8月20日

フィリピン、マニラ(2020年8月20日)-本日、天皇皇后両陛下御臨席のもとオンラインで開催された国際会議において、参集した専門家達は、新型コロナウイルスのパンデミックに伴う、保健衛生や水関連災害に対するより強力で総合的なリスク管理の必要性について議論した。

「新型コロナウイルス感染症大流行下の水防災に関する国際オンライン会議」は、水と災害ハイレベルパネル(HELP)、アジア開発銀行(ADB)、政策研究大学院大学(GRIPS)および国際連合地域開発センターにより共同開催された。

浅川雅嗣ADB総裁は歓迎の辞の中で、「新型コロナウイルスのパンデミックにより、同感染症や水を媒介とする伝染病、その他の疾病の蔓延に対する主要な防衛線である、水、公衆衛生および適切な衛生サービス(WASH: Water, Sanitation and Hygiene)の重要性が浮き彫りになった」とした上で、「不幸にも、アジア・太平洋地域には、安全な水にアクセスすることのできない3億人の人々、そして安全な衛生設備を利用できない12億人の人々がおり、様々な疾病との闘いのために必要とされる公衆衛生の改善は大きな課題となっている」と述べた。

水関連災害は、新型コロナウイルスのような同時発生災害のリスクを著しく増大させる。参加者は、新型コロナウイルスのパンデミックの状況下において、水関連災害のリスク軽減(DRR: Disaster Risk Reduction)に取り組むための効果的な方法について議論した。

HELPはこの課題に取り組むために、「新型コロナウイルス感染症大流行下の水災害対処原則」を策定した。同原則は、政府首脳やDRR・新型コロナウイルスへの対応に携わる責任者、その他のステークホルダーに対して、同時発生する災害による影響の拡大を回避するための準備と対応方法に関する実践的な助言を提供するものである。浅川総裁は「これらの極めて重要な原則は、アジア・太平洋地域で今まさに必要とされている知見やベスト・プラクティス、そして指針を提供している。またこれらの原則は、ADBの水関連業務で採用された数多くの対策にも適合している」と述べた。

ADBは、2022年までに、上下水道の完備や下水処理に関するプロジェクトと技術支援に60億ドル以上、洪水リスク管理に20億ドル以上の事業を計画している。ADBのWASHに関する活動は、衛生問題の改善に支援を拡大しており、水と健康に関する分野横断的なアドバイザリー・チームが、保健分野での成果をプロジェクトにさらに取り入れるべく活動している。

ADBは、新型コロナウイルスのパンデミックの影響に迅速に対応し、4月に200億ドルの包括的な支援パッケージを発表した。ADBの水関連の災害リスク管理と水分野のプロジェクトでは、同時発生する複合災害に対応するために、強固なインフラ、制度や能力の構築など、強靭性の確保にその焦点を広げている。また、ADBは、自然災害と公衆衛生上の危機の両方に対して緊急支援を行えるよう新たな融資制度を開発した。

韓国の元首相でHELP議長でもあるハン・スンス氏がこの会議の議長を務めた。各国政府の高官や国際機関・市民社会団体の代表者、そしてDDR、水、保健医療に関する専門家などが、同会議に出席した。アンヘル・グリア経済協力開発機構(OECD)事務総長およびダニロ・テゥルク スロベニア共和国元大統領が基調講演を行い、劉振民国連経済社会問題担当事務次長および田中昭彦GRIPS学長が歓迎の挨拶を行った。

この会議では、「新型コロナウイルス感染症流行下でのよりよい世界の構築のための水関連災害対策」と題するハイレベルパネルが開催され、北岡伸一国際協力機構理事長などの国際的な専門家と共に、バンバン・スサントノADBナレッジ管理・持続的開発担当副総裁が出席した。

ADBは、極度の貧困の撲滅に努めるとともに、豊かでインクルーシブ、気候変動や災害等のショックに強靭で持続可能なアジア・太平洋地域の実現に向け取り組んでいる。ADBは1966年に創立され、49の域内加盟国・地域を含め68の加盟国・地域によって構成されている。