フィリピン・マニラ(2020年9月17日)-アジア・太平洋地域の40以上の財務大臣、保健大臣および副大臣は、アジア開発銀行(ADB)の第53回年次総会において、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の重要性と、保健医療に資金を動員するためのさらなる協力の必要性を強調した。

本日、バーチャル形式で開催された「アジア・太平洋地域でのUHCに関する財務大臣・保健大臣合同シンポジウム:コロナ危機とその先へ」において、浅川雅嗣ADB総裁は、強固な保健医療システムの基盤としてUHCを支援することを確認した。

浅川総裁は、「アジア・太平洋地域の多くの国が高齢化社会に向かっている中においても、高齢者、貧困層、社会的弱者を含むあらゆる階層の人々が、保健システムの財政的な持続可能性を維持しながら、適度な負担で保健サービスを受けられるような保健システムを構築しなければならない」とし、「こうした点から、財務大臣と保健大臣の間の緊密な協力は、持続可能な財政に支えられた、費用対効果が高く、インクルーシブで、質の高い保健医療上の施策を加盟国が提供するために極めて重要である」と述べた

麻生太郎副総理兼財務大臣は、開会に寄せたビデオ・メッセージの中で、「我々は、ADBがアジア・太平洋地域のファミリードクターとして各国の支援ニーズを掘り起こし、UHCの推進に主導的な役割を果たすことを期待し、ADBとの協力を強化していく」と述べた。

ADB、世界保健機関(WHO)および日本政府は、アジア・太平洋地域の専門家を含む、保健や財政分野のリーダーを対象とするシンポジウムを共同開催し、2019年6月に大阪で開催されたG20首脳会議や2019年9月にニューヨークで開催された国連ハイレベル会合におけるUHCへのコミットメントに基づく具体的な行動について確認した。

毎年、アジア・太平洋地域の何千万人もの人々が、医療費の負担が原因となり、貧困状況に陥っている。パンデミックの中、UHCを達成した国、あるいはUHCの達成に近い国は、リスクコミュニケーション、検査、接触者追跡、隔離など、疾病の予防や管理に不可欠な対策を行うことができた。

フィジー、インドネシア、日本、韓国、ニュージーランド、フィリピン、スリランカ、ベトナムの財務大臣と保健大臣は、新型コロナウイルスのパンデミックへの対応から得られた教訓と成功した戦略を共有するとともに、保健分野や経済的ショックに対する耐性を高める上でUHCが果たす役割について議論した。

過去50年にわたり、アジア・太平洋諸国は国民の健康の改善で大きな進展を遂げてきた。それにもかかわらず、新型コロナウイルスにより、保健医療上の備えや対応能力に加え、健康安全保障と経済的安定性のつながりに著しい格差があることが明らかになった。

こうした格差を埋めるため、ADBはストラテジー2030の下、技術的助言を提供するとともに、ADBの業務全体のコミットメント額に対する保健医療事業の比率を2019年の2.66%から3~5%に引き上げることにより、UHCの達成を目指す開発途上加盟国の取り組みを支援することとしている。

ADBは、極度の貧困の撲滅に努めるとともに、豊かでインクルーシブ、気候変動や災害等のショックに強靭で持続可能なアジア・太平洋地域の実現に向け取り組んでいる。ADBは1966年に創立され、49の域内加盟国・地域を含め68の加盟国・地域によって構成されている。

Media Contact