【横浜、2017年5月4日】アジア開発銀行(ADB)と米国ニュース専門放送局のCNBCは本日、第2回ADB民間部門-CNBC賞をインドとフィリピンの民間企業に贈呈した。重要開発課題に対し、民間部門としての革新的かつ大きなインパクトを持つそれぞれの取り組みが高く評価され、ジャナラクシュミ金融サービス(Janalakshmi Financial Services)とAPリニューアブル(AP Renewables Inc.: APRI)が表彰された。
表彰式は、横浜で開催中の第50回ADB年次総会で開かれたCNBCとADBによる共催行事にて行われた。本賞は、高度に発展的な案件に焦点を当て、ADBのクライアントがアジア太平洋地域の開発途上国で行っている重要な取り組みを取り上げたものである。
ADB民間部門業務局局長のマイケル・バロー氏は、「本賞は、アジア太平洋地域の開発事業の実施における民間部門の重要性の高まりを象徴するものである」としたうえで、「ADBの民間部門パートナーは、開発課題に対し、資金援助から技術協力に至るまで、ユニークな解決策を提供している。本日の受賞者は、こうした取り組みのすばらしい例である」と述べた。
ジャナラクシュミ金融サービスは、十分なサービスを受けられていないインド都市部の貧困層に対し、資金へのアクセスを開き、金融サービスを向上させる取り組みを実施し、「ベスト・ファイナンシャル・セクター・トランザクション(最優秀金融セクター案件)」賞を受賞した。2016年12月にADBは、ジャナラクシュミ金融サービスが都市部のマイクロファイナンス融資に特化した組織から小規模の銀行(ジャナ小銀行、Jana Small Finance Bank)に改組するのを支援するため、同社に対し1.5億ドル相当のルピーの融資を承認し、支出した。
ジャナラクシュミはマイクロファイナンスと中小企業向けの融資業務の拡大を通じて、十分なサービスを受けられていない幅広い層の人々を支援する。さらに、インド政府の衛生分野における取り組みを補うための衛生関連融資をADBによる技術協力グラントと組み合わせて用意している。
「ベスト・プロジェクト・コーポレート・ファイナンス・トランザクション(最優秀企業金融案件プロジェクト)」賞は、フィリピン有数の地熱エネルギー発電事業者であるアボイティス・パワー(Aboitiz Power)の子会社、APRIに贈られた。APRIは、ティウィとマキリン・バナハウ(マクバン)地熱発電施設を所有・運営している。ティウィは世界で7番目、マクバンは4番目に大きい地熱発電所である。
APRIは2016年3月に、ティウィ・マクバンのスポンサー資本を借り換えるため、2.25億ドル相当の現地通貨建債券を発行した。ADBは、債券に対する部分信用補完を提供し、3,770万ドル相当のフィリピン・ペソの直接融資を実施した。発行された債券は、アジア太平洋地域において初めて気候債券イニシアティブ(Climate Bonds Initiative)の認証を受けた気候変動債であり、また新興国市場の単一プロジェクトに対する初の気候変動債でもあった。ADBの信用補完には、アジア太平洋地域に債券市場を開発するためASEAN+3の政府とADBが設立した多国間ファシリティである信用保証・投資ファシリティ(Credit Guarantee and Investment Facility: CGIF)がリスク・パーティシペーションを行った。
本プロジェクトは、域内の再生可能エネルギーに対するAPRIの決意を反映するものである。本プロジェクトはまた、トムソン・ロイター社が発行する雑誌『プロジェクト・ファイナンス・インターナショナル』(Project Finance International)の名誉ある「2016ボンド・ディール・オブ・ザ・イヤー」、『IJグローバル』(IJGlobal)の「アジア太平洋ボンド・ディール・オブ・ザ・イヤー」、および『アルファ・サウスイースト・アジア』(Alpha Southeast Asia)の「ベスト・リニューアブル・ディール・オブ・ザ・イヤー」を受賞している。
受賞者は、ADBの独立評価局および法務部とCNBCで構成された独立審査員パネルにより選ばれた。本賞の候補案件は、2016年に署名されたものに限られた。審査員は、各案件を革新性、影響力、スケーラビリティ(拡張性)、およびADBと候補金融機関・企業による付加価値を基準に評価した。
マニラに本拠を置くアジア開発銀行(ADB、加盟国・地域数67、うち域内48)は、インクルーシブな経済成長、環境に調和した持続可能な成長、及び地域統合の促進を通じて、アジア太平洋地域の貧困削減に取り組んでいる。ADBは、1966年に創設され、地域の開発パートナーとして50周年を迎えた。2016年のADBの年間支援額は、協調融資額140億ドルを含め、317億ドルであった。