韓国、仁川(2023年5月2日) — アジア開発銀行(ADB)は本日、ASEAN(東南アジア諸国連合)プラス3(日中韓)(ASEAN+3)の財務大臣および中央銀行総裁と共同で、「ASEAN+3における持続可能で強靭なインフラのための資金調達アプローチの再活性化」に関する報告書を発表した。同報告書は、ADB第56回年次総会に合わせて発表された。 ASEAN+3は、ASEAN10カ国、中国、日本、韓国で構成される。
同報告書では、ASEAN+3経済の持続可能な開発とパンデミック後の成長を支援する、強靭で将来に備えたインフラ構築に、民間や公的部門、機関投資家が協力して取り組むための革新的な資金調達アプローチの最新情報が紹介されている。同報告書はまた、アジアの開発途上国におけるニーズ、課題、機会に焦点を当て、インフラ資金調達に関する国際的な議論に「ASEAN+3の声」を提供している。
ADBのウーチョン・ウム事務総局長は、「雇用を創出し、地域経済に収益をもたらす重要なインフラに資金を提供するために、公的資金だけでなく、民間や機関投資家の資金を呼び込むための革新的な資金調達メカニズムが必要とされている」とした上で、「リスクを軽減し、信用補完とリスク回避のためのファシリティを提供し、すべてのステークホルダーが協力するような投資機会をもたらすために、有益な政策と規制の枠組みを構築する必要がある」と述べた。
インドラニー・ラジャ・シンガポール首相府相兼第二財務・国家開発相は、「革新的な資金調達アプローチに対する投資家の意識を高めることは、採算性がそれほど高くないプロジェクトに対する投資を促進する上で重要な鍵となるであろう」とした上で、「同報告書で紹介されている、実際のケーススタディから得られた重要な成功要因は、それぞれの国・地域で資金調達アプローチを適用しようとする各国政府に、有益な教訓を提供する」と述べた。
ADBによると、アジア開発途上国で経済成長を維持し、貧困を削減し、そして気候変動に対応するためには、2023年から2030年にかけて、インフラ整備に13兆8,000億ドル(年間1兆7,000億ドル)を投資する必要がある。ASEAN諸国では、同期間に少なくとも2兆8,000億ドル、年間で1,840億ドルのインフラ投資が必要と推定されている。
経済的、社会的目標を達成するためには、各国・地域にとってインフラ整備のための資金ギャップを縮小することが極めて重要である。これには民間セクターの参加が鍵となる。現在、世界の資本市場には200兆ドルを超える民間資金が投資されている。インフラのための民間および組織的な資金を触発し、ASEAN+3経済圏がパンデミックから立ち直るにつれて拡大する同地域のニーズに対応するべく、こうした資金を拡大するためには、革新的な資金メカニズムが必要である。
例えば、異なる資金調達手段を組み合わせることで、投資のリスクを軽減し、資本コストを下げることができる。同報告書は、これらの資金調達プラットフォームを通じて、政府が企業や投資家、金融機関とどのように協力できるかなど、官民パートナーシップのアプローチについて、使いやすい政策ツールキットを提供している。これらの資金調達ソリューションがさらに広く採用されれば、政府は公的資金を戦略的に活用して民間投資を呼び込み、主要な開発目標を達成し、投資収益に対する株主の期待に応え、ASEAN+3地域をより魅力的なインフラ投資先にすることができる。
報告書の全文はこちらより。
ADBは、極度の貧困の撲滅に努めるとともに、豊かでインクルーシブ、気候変動や災害等のショックに強靭で持続可能なアジア・太平洋地域の実現に向け取り組んでいる。ADBは1966年に創立され、49の域内加盟国・地域を含め68の加盟国・地域によって構成されている。