英国、グラスゴー(2021年11月3日)―日本政府は、本日、アジア開発銀行(ADB)が主導するエネルギー・トランジション・メカニズム(ETM)パートナーシップに対する2,500万ドルの無償資金の拠出を発表した。
この発表は、グラスゴーで開催された国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)におけるETM東南アジア・パートナーシップの発足に際して、日本財務省の神田眞人財務官により行われた。
この無償資金は、ETMのために発表された最初のシードマネーであり、ETMについてはインドネシアとフィリピンを皮切りに東南アジアで調査やパイロットの実施が進められている。
浅川雅嗣ADB総裁は、「ETMは、炭素集約型エネルギーからクリーンで信頼性の高いエネルギーへの移行を加速させることで、アジア・太平洋地域の温室効果ガス排出量削減におけるゲームチェンジャーとなる可能性を秘めている」とした上で、「我々は、ETM、そして気候変動との闘いにおいて変革のために行動する必要性を支持する日本その他の主要パートナーの支援に感謝する」と述べた。
神田財務官は、「日本は、1.5°Cの目標を達成するために、特に石炭火力発電への依存度が高いアジア・太平洋地域において、エネルギーの移行を進めるためのファイナンスの重要性を強調してきた」とし、「したがって日本は、安価で信頼できるエネルギーへの普遍的なアクセスを確保しつつ、石炭からよりクリーンなエネルギーへの円滑な移行を促進する上で極めて重要な役割を果たす、この革新的なETMを全面的に支持する。インドネシアやフィリピンを含め、重要なパートナーとともにエネルギーの移行を成功させることができるよう、私たちの資金貢献がシードマネーとなり、ドナー国からの拠出金や民間投資がより多く集められるものと信じている」と述べた。
ETMは、既存の石炭火力発電所を前倒しで稼働停止し、クリーンな発電施設に置き換えることを目指す、革新的なブレンドファイナンス・アプローチである。このメカニズムには、2つの数十億ドル規模の基金が含まれる。1つは石炭火力発電所の時期を早めた稼働停止や転用に充てるもので、もう1つは発電や蓄電、送配電系統の改修といった新たなクリーンエネルギーへの投資に充てるものである。国際金融機関、民間機関投資家、慈善団体、長期投資家がETMに資本提供することが想定されている。
ADBは、極度の貧困の撲滅に努めるとともに、豊かでインクルーシブ、気候変動や災害等のショックに強靭で持続可能なアジア・太平洋地域の実現に向け取り組んでいる。ADBは1966年に創立され、49の域内加盟国・地域を含め68の加盟国・地域によって構成されている。