フィリピン・マニラ(2019年8月6日)- アジア開発銀行(ADB)と日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の両機関はパートナーシップを締結。ADBのグリーンボンドへのGPIFによる投資を通じて、環境問題の解決に資するADBのグリーン・プロジェクトをGPIFが支援する。
中尾武彦ADB総裁は、「アジア・太平洋地域の環境関連投資を促進すると共に、ADBが果たすべき役割に密接に関連するこの重要な取り組みでGPIFと協力できることはたいへん喜ばしい」と述べた。
ADBは、アジア・太平洋地域において、開発途上加盟国が温室効果ガスの排出を削減し、気候変動の影響に適応するためのプロジェクトに資金を提供するため、グリーンボンドを発行している。2015年に最初のグリーンボンドを発行して以降、様々な通貨建てで総額60億ドル相当額を超えるグリーンボンドを発行してきた。ADBのグリーンボンドは、年金基金や資産運用管理者などの機関投資家が、環境課題の改善に貢献するという役割を果たす上で機会を提供する。
GPIFが環境・社会・ガバナンス(ESG)投資に向けたスチュワードシップ責任を果たす上で、グリーンボンドへの投資は有益であり、運用資産で世界最大の年金基金であるGPIFは、ADBのグリーンボンド・プログラムにとって大きな支えとなる。
「GPIFは、全ての運用委託先に対して、投資分析と意思決定プロセスにESGの観点を組み込む『ESGインテグレーション』を求めており、グリーンボンド等への投資は、債券運用におけるESGインテグレーションの一つの在り方であると考えている。GPIFは、全ての世代の被保険者に対して、年金積立金の持続可能な利益を確保するため、インベストメント・チェーンを通じたESGインテグレーションを促していく。」と水野弘道GPIF理事兼CIOは述べている。
世界的に二酸化炭素の排出量は2018年以降増加しており、そのうちアジアの排出量が40%を占める。「継続的な経済成長、都市化の加速、そして中産階級の拡大により、アジアは世界的なエネルギー需要の拡大の主な源泉ともなっている。したがって、アジアが家庭や業務部門、産業部門、運輸部門からの排出を削減する世界的な取組みにおいて積極的な役割を担っていくことが重要である」とイングリッド・ヴァン・ウィーズADB財務・リスク担当副総裁は述べた。
クリーンエネルギーやエネルギーの効率性向上のプロジェクト、また持続可能な交通・運輸の実現を目指す取組みを通じて、ADBは今後、気候変動の適応への支援を拡大すると共に、引き続き気候変動の緩和のための支援を行っていく。ストラテジー2030の下、2030年までにADBが確約する業務案件数の75%において気候変動の緩和と適応を支援していく。また、2019年から2030年までの期間に、累積で800億ドルをADB自身の財源から気候関連事業に投融資する。
ADBは、極度の貧困の撲滅に努めるとともに、豊かでインクルーシブ、災害等のショックに強靭で持続可能なアジア・太平洋地域の実現に向け取り組んでいる。ADBが2018年に新たに契約署名した融資およびグラントの総額は216億ドルにのぼる。ADBは1966年に創立され、49の域内加盟国・地域を含め68の加盟国・地域によって構成されている。