
フィリピン・マニラ(2019年12月2日)ーアジア開発銀行(ADB)の加盟国財務大臣等で構成される総務会は、浅川雅嗣(まさつぐ)氏を全会一致でADBの新総裁に選出した。
浅川氏は内閣官房参与兼財務省顧問で61歳。ADBの第10代総裁として、2020年1月17日付けで着任する。任期は、来年1月16日に退任する中尾武彦総裁の残りの任期である2021年11月23日までとなる。
ADBの総務会議長である韓国の洪楠基(ホン・ナムギ)副首相兼企画財政部長官は、「浅川氏の国際金融や開発分野における幅広い経験は、ADBのビジョンである、豊かでインクルーシブ、強靭で持続可能なアジア・太平洋地域の実現に貢献するであろう。ADB総務会は浅川氏と共に仕事をすることを心待ちにしている。」と述べた。
浅川氏は、40年近くにわたり財務省において財務官等の要職を歴任し、開発政策や外国為替市場、国際租税政策などの分野において幅広い経験を積んできた。
浅川氏は、2019年のG20大阪サミットおよび福岡で開催されたG20財務大臣・中央銀行総裁会議では財務大臣代理を務めた。また、世界金融危機の直後に行われたG20初の首脳会合には、麻生総理大臣(当時)の秘書官として参加した。経済協力開発機構(OECD)との関わりも深く、2011年から2016年にわたり、租税委員会の議長を務めた。
浅川氏は、客員教授として、2012年から2015年まで東京大学で、また、2006年から2009年まで埼玉大学で教鞭をとった。
1981年に東京大学経済学部卒業。1985年に米プリンストン大学にて行政学修士。
ADBは、極度の貧困の撲滅に努めるとともに、豊かでインクルーシブ、災害等のショックに強靭で持続可能なアジア・太平洋地域の実現に向け取り組んでいる。ADBが2018年に新たに契約署名した融資およびグラントの総額は216億ドルにのぼる。ADBは1966年に創立され、49の域内加盟国・地域を含め68の加盟国・地域によって構成されている。