フィリピン・マニラ(2021年8月31日)-アジア開発銀行(ADB)の浅川雅嗣総裁は、ADB総務会の投票により全会一致の支持を得て、総裁として2期目を務めることとなった。新たな任期は、2021年11月24日から5年間である。
浅川氏は、2019年11月30日に10代ADB総裁として初めて選出され、前任者である中尾武彦氏の残任期間を務める形で、2020年1月17日に総裁の任に就いた。
浅川氏は、「ADBが最高峰の開発機関として、アジア・太平洋地域のためにその役割を果たし、我々の長期戦略である『ストラテジー2030』で示されている、豊かでインクルーシブ、強靭で持続可能な未来に向けた新たな道筋において、開発途上加盟国による新型コロナウイルスのパンデミックからの復興を支援していくことが、私の2期目のビジョンである」と述べた。
2020年1月の浅川氏の着任以来、ADBは、200億ドルの包括的な支援パッケージ並びに90億ドルのアジア太平洋ワクチンアクセスファシリティにより、地域の新型コロナウイルスのパンデミックへの対応や復興に向けた計画作りに多大なる貢献を果たしてきた。ADBはまた、2020年9月に40億ドルを超えるアジア開発基金および技術協力特別基金の増資を成功裡に実現し、最も脆弱な開発途上加盟国のために重要な無償資金を提供している。
2019年のADB総裁就任前、浅川氏は、内閣官房参与兼財務省顧問を務めていた。また、40年近くにわたり、財務省において国際金融や開発の分野で豊富で多様な経験を積んできた。経済協力開発機構(OECD)では、2011年から2016年まで租税委員会の議長を務め、税源浸食と利益移転(BEPS: Base Erosion and Profit Shifting)プロジェクトなどの国際租税に関する議論を主導し、成功に導いた。浅川氏は1958年生まれ。東京大学経済学部卒業、米プリンストン大学行政学修士。
ADBは、極度の貧困の撲滅に努めるとともに、豊かでインクルーシブ、気候変動や災害等のショックに強靭で持続可能なアジア・太平洋地域の実現に向け取り組んでいる。ADBは1966年に創立され、49の域内加盟国・地域を含め68の加盟国・地域によって構成されている。