フィリピン・マニラ(2021年4月26日) - 本日、浅川雅嗣アジア開発銀行(ADB)総裁は、2021年11月23日の今任期満了後からの5年間を務める総裁として、再選を目指す意向を表明した。ADB総裁は、5年間を任期としてADBの域内加盟国・地域から指名され、ADB総務会により選出される。
浅川氏は、「ADBは、世界的なパンデミックの中、開発途上加盟国と緊密に協力し、このアジア・太平洋地域のためにタイムリー、かつニーズに沿った形で効果的な解決策を設計し、実施してきた。また、我々の長期戦略であるストラテジー2030で示されているように、ジェンダー、気候変動、民間セクター開発など、重要で長期的な開発課題への取り組みを継続してきた」とした上で、「もし再選されれば、新型コロナウイルスの危機からの開発途上加盟国・地域の復興を支援する取り組みを強化し、ADBのすべての加盟国・地域や関係機関とのパートナーシップを深めるとともに、職員の幸福と健康を守ることを約束する。ADBは、開発途上加盟国がこれまで成し遂げてきた素晴らしい成果を維持するとともに、強靭で、グリーンかつインクルーシブな未来に向けて前進し続けられるよう、あらゆる努力をしていく」と述べた。
浅川氏は、2019年11月30日に総務会によってADB総裁に選出され、前総裁である中尾武彦氏の任期を引き継ぎ、2020年1月17日付けで着任した。
浅川氏のリーダーシップの下、ADBは地域の新型コロナウイルスのパンデミックへの対応や復興に向けた計画作りに多大なる貢献をしてきた。2020年4月にADBは、公的ならびに民間部門の支援をカバーする200億ドルの包括的な支援パッケージを発表し、パンデミックの影響を緩和すべく開発途上加盟国を支援してきた。昨年12月には、開発途上加盟国が効果的で安全な新型コロナワクチンを調達し、提供できるよう、迅速かつ公平な支援を提供するために、90億ドルのアジア太平洋ワクチンアクセスファシリティを立ち上げた。ADBはまた、アジア開発基金および技術協力特別基金の40億ドルを超える増資を成功裡に実現し、最も脆弱な開発途上加盟国がパンデミックを克服し、様々な長期的な開発目標に取り組むために不可欠な無償資金を提供している。
ADBの2020年の契約締結額は、これまでで最高の総額316億ドルにのぼり、ちょうどその半分余りがパンデミックに対応する支援業務となっている。残る支援は、ジェンダー平等の格差や気候変動の影響、質の高いインフラへの投資など、長期的な開発課題への対応に向けられた。こうした成果は、それぞれこれまでで最高となる164億ドルの協調融資と358億ドルの資本市場からの資金調達によって支えられたものである。
組織管理においては、浅川氏はADBの職員が新たな働き方に適応するのを助けるとともに、引き続き組織的なデジタル変革を推進すべく指導力を発揮した。ADBはまた、最も実用的で最先端のナレッジを伴う解決策を開発し、開発途上加盟国に提供できるよう、新たにナレッジ管理行動計画を策定した。さらに、カルチャー変革イニシアティブを立ち上げ、ADBの組織戦略であるストラテジー2020の目標達成に向け、職員や経営陣の強化に取り組んでいる。
ADBは、極度の貧困の撲滅に努めるとともに、豊かでインクルーシブ、気候変動や災害等のショックに強靭で持続可能なアジア・太平洋地域の実現に向け取り組んでいる。ADBは1966年に創立され、49の域内加盟国・地域を含め68の加盟国・地域によって構成されている。