フィリピン、マニラ(2023年6月20日)— アジア開発銀行(ADB)と他の国際開発金融機関(MDBs)は、パリ協定の目標に対して資金の流れを適合させるための原則を公表した。この原則は、過去5年間の作業の成果であり、一貫性のある調和したアプローチを確保するためのものである。

この原則(関連文書はこのページの末尾をご参照ください)は、パリ協定調印後のMDBsの取り組みの成果を示している。MDBsは2017年に、資金の流れをパリ協定の目標に適合させることを約束した。

これらのテクニカルペーパーは、多くの関係者が共同で取り組んだ成果であり、パリ協定の気候変動目標の達成のために、いかにMDBsの新たな融資業務を組み立てる必要があるかについて、明確な指針を提供する。パリ協定との整合性確保のためのMDBs共同アプローチは、顧客がパリ協定の目標に沿う、適切な短期的および長期的開発の道筋を定め、それに資金の流れを適合させることにより、低炭素で気候変動に強靭な未来に向けて、良い結果をもたらし、かつ迅速な移行を加速・支援することを目指している。

ADBのクリスチャン・エラーマン上級気候スペシャリストは、「ADBは、アジア・太平洋の気候バンクとしての役割を担っている」とした上で、「パリ協定との整合性は単なる約束にとどまらず、アジアを持続可能で強靱な未来に導くために支援するという我々の誓いの証である」と述べた。

パリ協定は、気候変動に関する法的拘束力のある国際条約である。パリ協定は、2015年12月12日に、国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)で196の参加国によって採択され、2016年11月4日に発効した。

パリ協定に適合するというコミットメントの実施に向けて一貫したアプローチを確保するため、2019年にMDBsはその活動をパリ協定の目標と整合させるための6つの要素を含む枠組みを策定した。それには、気候変動緩和目標への適合、適応と気候変動に強靭なオペレーション、気候変動ファイナンスを通じた移行への貢献の加速、エンゲージメントと政策立案支援、報告手法、そして内部活動の適合が含まれる。

この原則は、ADBがパリ協定への適合のコミットメントを具体化する際の指針となる。ADBはソブリン(公共セクター)業務については2023年7月1日までにパリ協定目標と完全に合致させ、新規のノンソブリン(民間セクター)業務については2023年7月1日までに85%を、2025年7月1日までに完全に合致させることを目指す。

ADBは、開発途上加盟国が国が決定する貢献(NDC)を達成し、パリ協定の目標達成に貢献できるよう、その能力強化に取り組んでいる。野心的なプロジェクトや政策開発支援を通じて、各国における炭素排出のネットゼロ経済実現に向けた公正な移行を後押ししている。ADBはまた、気候変動、貧困、ジェンダーの関係に着目し、特にコミュニティレベルでの気候変動への適応対策における投資の拡大を支援する取り組みを強化している。

MDBsは、実際の活動を通じてこのアプローチを進化させる必要性を認識し、原則の発表後も気候変動対策において引き続き協力していく。

アフリカ開発銀行、アジア開発銀行、アジアインフラ投資銀行、欧州評議会開発銀行、欧州復興開発銀行、欧州投資銀行、米州開発銀行グループ、イスラム開発銀行、新開発銀行、世界銀行グループが、この共同手続き原則の発表に向けて協力して取り組んだ。

ADBは、極度の貧困の撲滅に努めるとともに、豊かでインクルーシブ、気候変動や災害等のショックに強靭で持続可能なアジア・太平洋地域の実現に向け取り組んでいる。ADBは1966年に創立され、49の域内加盟国・地域を含め68の加盟国・地域によって構成されている。

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