マニラ、フィリピン(2022年9月28日)-アジア開発銀行(ADB)は本日、ADBにとって初となる気候変動に関連した財務情報開示報告書を発表し、アジア・太平洋地域の『気候バンク』として気候変動に対処するADBのコミットメントを一層明確に示した。

気候関連財務情報開示2021」(Climate-related Financial Disclosures 2021)の報告書は、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言の実施に関するADBの進捗状況について取りまとめたものである。

浅川雅嗣ADB総裁は、「この報告書の発表は、ADBにとって重要な節目となるものであり、開発アジェンダにおける気候変動対策の重要性を明確にするものである」とした上で、「ADBはアジア・太平洋地域の『気候バンク』であり、このTCFD報告書は、気候変動との戦いでさらに一歩踏み込んだ我々のコミットメントを示している。これは、気候変動対策や気候変動に関連する業務の強化に向けたADBのコミットメントを、ADBの投資家、株主、そしてステークホルダーのコミュニティに対して示すとともに、情報開示の強化によって、気候変動に関連する機会やリスクに対するエクスポージャーに関するADBの透明性を向上させるものである」と述べた。

ADBは昨年、TCFDへの支持を表明した。ADBは、TCFDの枠組みに沿った開示要件を満たすことで、ADBが気候変動に関するリスク管理と機会に対する評価を業務に取り入れることに強くコミットする姿勢をステークホルダーに伝えることができる。また、これは、国際開発金融機関の枠にとどまらず、世界の企業や金融セクターに対して、ADBが気候変動に関するリスクの情報開示を支持していることを示すものである。

TCFDは、各機関が一貫性のある形でステークホルダーに情報を提供するために、気候関連財務情報の報告を改善し、拡大することを目的として、2015年に金融安定理事会により設立された。TCFDは2017年に、気候関連財務情報開示の国際標準とみなされ、ガバナンス、戦略、リスク管理、そして指標と目標の4つの柱を中心とした、一連の提言を行った。

TCFDの枠組みに沿ったADBの実施状況に係る主な進展として、気候目標を達成するためのADBの行動計画、実施、モニタリングおよび調整を監督するための、ADB事務総局長直属の上級幹部で構成された、気候変動対策調整委員会の設置があげられる。また、TCFDの提言を採択し、対外報告を推進するための、部局間作業部会も昨年立ち上げられた。

この報告書には、ADBの気候関連の機会やリスクに対するエクスポージャーに関する暫定的な財務開示情報が含まれている。また、この報告書では、アジア・太平洋地域の『気候バンク』としてADBを位置づける、そしてADBが気候変動ファイナンスの目標を達成するための様々な取り組みについて紹介されている。本報告書は、ADBの内部温室効果ガス排出量の情報が開示されている他、物理的リスクと炭素移行リスクの暫定的評価に対する、ADBのプロジェクト・ポートフォリオの初めてのヒートマップが含まれている。また、気候変動行動計画の策定など、すでに進行中の活動を含め、今後の活動についても詳細に説明している。

ADBは、極度の貧困の撲滅に努めるとともに、豊かでインクルーシブ、気候変動や災害等のショックに強靭で持続可能なアジア・太平洋地域の実現に向け取り組んでいる。ADBは1966年に創立され、49の域内加盟国・地域を含め68の加盟国・地域によって構成されている。9の域内加盟国・地域を含め68の加盟国・地域によって構成されている。

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