マニラ(2019年7月11日) - 総額27億5,000万ドルのフィリピン、マロロス-クラーク鉄道建設プロジェクトの第一トランシェとなる融資額13億ドルの調印式が、ロドリゴ・ドゥテルテ大統領参列のもと、マラカニアン宮殿にて、カルロス・ドミンゲス財務大臣とADBのアハメッド・M・サイード副総裁により執り行なわれた。

サイード副総裁は、「フィリピンにおけるADBの事業は歴史的にも特別な位置づけにあり、現在、ドゥテルテ政権が進めている『Build, Build, Build 』インフラプログラムによって、当行はフィリピン政府への支援を強化している。マロロス-クラーク鉄道建設プロジェクトは単独のインフラ融資案件としては過去最大であり、当行が本部を置く国でのプロジェクトとして記念すべきものとなる」と述べた。

マロロス-クラーク鉄道は、マニラ北方のタルラック州ニュークラークシティーから、マニラ南方のラグナ州カランバまでをつなぐ、南北通勤鉄道プロジェクトの一環で、2025年までの完工を目指している。さまざまな最先端の技術の使用により、最高時速160キロを誇る高架式鉄道で、マニラ首都圏の交通渋滞の緩和や大気汚染、交通・物流コストの削減につながり、経済の発展と同時に人口の郊外への分散を促す。

国際協力機構(JICA)により最大20億ドルの協調融資が行われ、車両および鉄道システムの資金に充てられる。

マロロス-クラーク鉄道プロジェクトは、ADB、JICAそしてフィリピン運輸省の緊密な協力によるもので、プロジェクトの準備にあたってはアーサー・ツガデ運輸大臣への報告を含め、合同の技術チームが定期的に『Build, Build, Build』会合を開き、検討を進めてきた。なお、このプロジェクトではADBのセーフガードと住民移転に係る政策が適用される。

本プロジェクトの土木工事の入札手続きは進行中で、本年第4四半期には最初の契約が結ばれる見込み。

このほか、2019年中に承認が予定されているADB融資案件としては、マニラ首都圏の交通量の多い交差点に高架歩道を建設するエドサ・緑道プロジェクトや、アンガット水道改善プロジェクトの下での都市部の主要な水供給設備の整備に対する追加支援などがある。また、インフラ整備・イノベーション・ファシリティに対する追加支援が検討されており、それによりフィリピン政府による他の主要なインフラプロジェクトの準備調査や詳細技術設計が支援される。

ADBによるフィリピンへの融資は2019年にこれまでで最大の年間25億ドルに達する見込みで、これは過去3年の平均年間融資額10億ドルの倍以上の額となる。

さらに今後、JICAとの協調融資により、2020年には南北通勤鉄道プロジェクトの一環で、ブルンメット-カランバ区間の建設事業に対する融資が、そして2022年にはニュークラークシティへの鉄道拡張事業への融資が予定されている。

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