【中国・香港、2017年9月26日】 アジア開発銀行(ADB)が本日発表した「アジア経済見通2017年 改訂版(Asian Development Outlook 2017 Update)」によれば、官民連携(PPPs: Public-Private Partnerships)を通じ、民間の資本と技術的専門性を活用することが、年間1.7兆ドルが必要とされるアジア・太平洋地域のインフラ需要を満たす上で有効である。

「アジア経済見通し」はADBの重要な経済刊行物であり、ADBはその2017年改訂版の中で、官民連携を特別テーマとして取り上げ、年間5,000億ドルにのぼるこの地域のインフラ資金不足を補う上で、官民連携は、民間セクター支援を引き出す重要な手段であると分析している。

ADBの澤田康幸チーフ・エコノミストは、「官民連携は、それが正しく活用されたならば、すべての人のための持続可能な開発という共通目標の達成に向けて、民間セクターの機能と資金でこの地域の膨大なインフラ需要を満たす可能性を持っている」と述べた。

アジアでは、いまだ4億人以上が電気のない生活をし、3億人もが安全な飲み水にアクセスできず、また15億を超える人々が基礎的な衛生設備を持たない生活を強いられているなど、その開発需要は膨大である。各国政府や、ADBのような国際金融機関の資金は、こうした需要を満たすには不十分であり、民間セクターは官民連携を通じて、この資金不足への対応に寄与することができる。

報告書では、官民連携が適切に実施された場合には、インフラ整備と共に公共サービスの提供の改善にも効果を発揮し、インクルーシブな経済発展に寄与するであろうとしている。過去25年の間に、官民連携のスキームを活用した地域内のプロジェクト数は四倍になり、こうしたプロジェクトの実施を通じ、官民連携のモデルは、アジアにおいて着実に浸透してきている。官民連携の実施は、今のところ東アジアや南アジア地域に集中しているが、その他の地域にも広がる可能性がある。エネルギーや交通セクターは、これまで官民連携プロジェクトの重点分野であったが、官民連携の新たな分野として、保健や教育セクターが注目される。

また報告書では、アジア・太平洋地域の開発プロジェクトで効果的に官民連携のスキームを実施するためには、ガバナンス、法制度、組織構造、そして官民連携に関するノウハウの改善が必要であるとしている。各国政府は、投資環境の改善や金融市場の深化に向けて幅広い取り組みを進めれば、官民連携にかかるリスクの最適な配分、適切な規制政策の実施、官民連携にふさわしいプロジェクトの選択、そして適切な民間パートナーの選定により、官民連携の成功事例を増やすことができる。

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