fbpx アジアの潜在成長率を引き上げるためには 生産性の向上が必要—ADBによる研究 | Asian Development Bank

アジアの潜在成長率を引き上げるためには 生産性の向上が必要—ADBによる研究

ニュースリリース | 2016年3月30日

【中国・香港、2016年3月30日】 アジア開発銀行(ADB)が本日発表した報告書『アジア経済見通し2016年版(Asian Development Outlook (ADO) 2016)』によると、世界金融危機以降、アジア途上国(日・豪・NZを除くアジア・太平洋の45カ国・地域)の経済成長は減速している。アジア・太平洋地域の政策当局は潜在成長率の鈍化に対し、地域の生産性を向上させるための支援策を講じて対処することが必要である。

同報告書では、潜在成長率、すなわち完全雇用と安定したインフレの下での最大レベルの経済成長率を、特別テーマとしている。潜在成長率は生産性の伸び率と労働力の伸び率の合計として算出される。

ADBのシャンジン・ウェイ(Shang-Jin Wei)チーフ・エコノミストは、「潜在成長率は労働力と労働生産性の両方の伸び率で決まる」としたうえで、「人口動態を変えるのは数年でできることではないが、多くの発展途上国には、労働、資本、および土地市場における歪みを取り除くとともに、民間セクターの投資を刺激する構造改革を実施する余地が極めて多く残っており、これらを実行することによって生産性を向上させ、潜在成長率を引き上げることが可能になる」と述べた。

報告書によると、アジアの平均成長率は2008年から2014年の間に2%低下し、その低下の約40%は潜在成長率の減少によるものだった。アジア・太平洋諸国が全世界の国内総生産(GDP)に占める割合は4分の1を超えており、この地域の生産性を向上させることは世界経済の回復にとっても必須である。

労働力の減少が、金融危機以後、潜在成長率が減速している決定的な要因であると、報告書はしている。生産年齢人口増加率の1パーセント・ポイントの減少は、潜在産出高の増加率を同程度削減する。域内の多くの国で、労働市場への新規参入者が減少し、労働人口が高齢化するという人口動態のマイナス面が顕著になってきている。今後数十年間、人口動態に対する負の圧力は増大し、2020年までにアジア途上国の潜在成長率を約0.4パーセント・ポイント押し下げることになる。

高等教育を増やし、労働市場の柔軟性と制度の質を向上させるとともに、貿易の開放や金融市場の統合を促進するなど、生産性を向上させるための改革を実施することにより、潜在成長率を次の十年間に毎年最大0.7パーセント・ポイント増加させることが可能である。生産性を向上させることができる他の要素としては、近代的な技術や設備への投資、政府の実効性の向上、米国との生産性の差を縮めることなどがある。また、健全なマクロ経済運営を行い、経済の変動を抑えることによって、地域の潜在成長率を0.1パーセント・ポイント程度増加させることが可能であると報告書はしている。