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軟調な世界経済が引き続き 東アジア新興国の債券利回りを圧迫

ニュースリリース | 2016年6月24日

【フィリピン・マニラ、2016年6月24日】アジア開発銀行(ADB)が発表した『アジア債券モニター』の最新版によると、投資家が世界経済の長引く低迷を織り込む中、2016年3月1日から5月15日にかけて、ほぼすべての東アジア新興国市場で債券利回りが引き続き低下した。

また、米連邦準備制度理事会(FRB)が2016年の最初の3会合で金利を据え置く慎重な姿勢を示したことから、1月から4月の間に多くの東アジア新興国の現地通貨建て国債市場に資金が流入した。現地株式市場および東アジア新興国通貨は対象期間を通じて概ね好調であった。また、クレジット・デフォルト・スワップのスプレッドは縮小し、同地域でデフォルト・リスクの見通しが改善したことが示された。

ADBのシャンジン・ウェイ(Shang-Jin Wei)チーフ・エコノミストは、「東アジア新興国のファンダメンタルズと金利が依然として好調であることを踏まえると、同地域の債券の見通しは概ね明るい。ただし、FRBが予想よりも早期に利上げに踏み切ることで、外国人投資家が同地域から資金を引き上げる可能性があるなど、下振れリスクがある」としたうえで、「他方で、金融市場の効率性と透明性を高める政策は、同地域の経済が外的ショックに直面した際にも柔軟性を保つのに有効だ」とした。

同報告書は、その他のリスクとして、更なる世界経済の停滞や金融不安に対する懸念、そして東アジア新興国でのデフレの兆しを挙げている。

10年国債を含むほぼすべての現地通貨建て国債の利回りが低下した。中華人民共和国とフィリピンの国債は例外で、利回りが概ね上昇した。

東アジア新興国の現地通貨建て債券市場では成長が続き、3月末に発行残高は9兆6,000億ドルを超え、前四半期末比約4%の増加、前年同期末比20%超の増加となった。第1四半期の現地通貨建て債券の発行額は1兆米ドルを上回った。前四半期比では2%超の減少であったが、前年同期比では51%の増加であった。

東アジア新興国の最大の債券市場は依然として中華人民共和国であり、2016年3月末時点で同地域の債券市場全体のほぼ68%を占めている。同時点で、現地通貨建て国債は引き続き大半を占め、市場全体のほぼ62%に達している。一方、社債は流動性が低いため、魅力が少ない。

3月1日から5月15日にかけて、インドネシアとマレーシアで若干下落したのを除き、すべての東アジア新興国株式市場が上昇し、通貨は米ドルに対して全般的に上昇した。最も上昇したのは韓国ウォン(同期間に5%上昇)で、これにマレーシア・リンギット(同3%超の上昇)が続いた。

同報告書のテーマ・チャプターでは、アジア新興国の国債利回りに影響を及ぼすマクロ経済要因を分析しており、インフレの役割と消費者物価指数(CPI)および生産者物価指数(PPI)の債券利回りに対する異なる影響、国内流動性の重要性、ならびに世界経済環境が債券利回りに与える影響に注目している。