フィリピン・マニラ(2022年4月12日)—アジア開発銀行(ADB)は本日、コロナ禍およびポストコロナ期において、遠隔地に住む貧困層や恵まれない家庭で育つ中学校の生徒を対象とした、遠隔教育を支援する240万ドルの無償資金支援の一環として、タブレット型端末や太陽電池式トランジスタラジオなどのIT機器の最終供与分をフィリピン教育省に提供した。
パシッグ市で行われた式典では、同省のネポムセノ・マラルアン次官が、アラン・モレルADB首席カントリー・スペシャリストから、遠隔地の選定校の生徒や教師を対象とする100万ドル相当の太陽電池式トランジスタラジオ46,680台、Androidタブレット3,500台、無線LAN・ネットワーク機器21セットを受け取った。機器の大半は今年初めにアブラ州、ボホール州、カリンガ州、東ダバオ州、北ダバオ州、サンボアンガ・シブガイ州などにある学校にすでに納入されている。
全国の選定校からは、教育長、学校長、教師、生徒、保護者らがこの式典にビテオ会議形式で参加した。在フィリピン日本国大使館ならびにフィリピンビジネス社会開発財団(PBSP)、Edukasyon、NIRASコンサルティングなどのパートナー組織の代表者らは対面方式で参加した。
マラルアン次官は、「我々教育省は、現状、電力へのアクセスが限定的な、いわゆるラスト・マイル・スクールに通うフィリピン人生徒に対して、遠隔教育のための設備やリソースへの安全かつ安定的アクセスを提供するこの支援に大変感謝する」とした上で、「これは、パンデミックが発生した直後に策定した学習継続計画の目標達成のための手助けとなる。さらに、このプロジェクトには、遠隔地の学校における、技術によって後押しされた教育の提供の有効性に関する研究の要素が含まれており、より重要なものとなっている」と述べた。
この支援は、新型コロナウィルス感染症におけるラスト・マイル・スクールのためのエドテック・ソリューション(EdTech Solutions for Last Mile Schools in COVID-19)のプログラムの下、ADBの豊かで強靭なアジア太平洋日本基金(JFPR)からのグラントから資金提供されている。
モレル首席カントリー・スペシャリストは、「パンデミックによりもたらされた困難な状況の中にあっても、フィリピンの若者は学習を継続する必要がある。コロナ以前から基本的なインフラや学習資源にアクセスできない、遠隔地のいわゆるラスト・マイル・スクールの生徒は、二重に困難な状況に置かれている」とした上で、「遠隔教育に必要なツールを提供することは、生徒の学校中退防止に役立ち、より良い未来につながる機会を与える」と述べた。
フィリピン政府は、2020年5月に策定されたフィリピン教育省の基礎教育学習継続計画(Basic Education Learning Continuity Plan)の下、基本インフラの中で、信頼できる電力へのアクセスを欠く3,500以上の学校を特定した。同省はまた、新型コロナウイルスのパンデミック下において試行された、教育技術を用いたソリューションの一部である、自律的学習モジュールを使って、こうした地域の生徒を支援するために、ラジオを活用した学習指導システムを開発した。
ADBは、ハードウェアなどのインフラ機能の提供とは別に、7〜12年生のカリキュラムの最も重要な学習目標の中から、中学生向けのデジタル学習コンテンツを作成することを支援するとともに、同プログラムの下では、遠隔教育に関する教員向け研修も提供される。
この支援は、ADBがフィリピン教育省に対して現在行っている中等教育支援プログラム(Secondary Education Support Program)の下で実施されるものであり、フィリピンの人々への投資を強化する、ADBの2018~2023年を対象としたフィリピン向けの国別パートナーシップ戦略に沿ったものである。
ADBは、極度の貧困の撲滅に努めるとともに、豊かでインクルーシブ、気候変動や災害等のショックに強靭で持続可能なアジア・太平洋地域の実現に向け取り組んでいる。ADBは1966年に創立され、49の域内加盟国・地域を含め68の加盟国・地域によって構成されている。