シンガポール(2023年2月7日)—アジア開発銀行(ADB)の新たな報告書によると、アジア・太平洋地域における気候変動への取り組みには、よりグリーンな貿易と投資が不可欠であり、域内の各国政府がさらに緊密に協力することが求められる。

ここ数十年間、貿易と投資がアジアの著しい経済成長の推進力となった一方で、他のどの地域よりも気候変動の影響を受けやすい同地域では、目覚ましい経済成長が二酸化炭素排出量の大幅な増加にも繋がった。ADBが本日発表した「アジア経済統合報告書2023年版」(AEIR 2023: Asian Economic Integration Report 2023)によれば、この傾向に歯止めかけるには、環境に関連する物品やサービスの貿易促進、グリーンビジネスの育成、カーボンプラインシングにかかるメカニズムの開発、さらに貿易や投資協定を通じた地域協力の強化などの対策が必要となる。

ADBのアルバート・パーク・チーフエコノミストは、「アジア・太平洋地域の目覚ましい成長により、何百万人もの人々が貧困から抜け出した一方で、環境面での犠牲が払われてきた」とした上で、「この地域は現在、開発の進捗を損なう可能性をはらむ気候危機の最前線に立たされている。貿易と投資は、依然として成長と貧困削減のための最も重要な推進力の一つだが、域内の各国政府は、貿易と投資をよりグリーンなものにするための連携をこれまで以上に強化する必要がある」と述べた。

アジアの製造業に関連する二酸化炭素排出量は、1995年から2019年の間にほぼ3倍に増加した。これは主に、域内および輸出市場の需要の双方を満たすために、同地域が他に類を見ないペースで経済成長と工業化を進めたことを反映している。アジア・太平洋地域は現在、世界のどの地域よりも急速に温暖化が進んでいる。アジア・太平洋地域の災害発生件数は世界全体のほぼ4割を占めており、被災者数では7割以上にも及ぶ。災害は、特に女性や社会的弱者に深刻な影響を与える。

本日の報告書によると、域内の各国政府は、以下の方法により、貿易と投資をより持続可能でグリーンなものにすることができる。

  • ソーラーパネルなどの環境関連物品やサービスにおける貿易促進。
  • 規制、インセンティブ、基準、認証制度を通じたグリーンビジネスの育成。
  • 気候に関するコミットメントや行動を、透明性があり、強固で相互運用可能、かつ協調性のあるものにするための国際的な規制上の協力強化。
  • 連携と地域的なアライアンスを通じた、国や国境を越えたレベルでのカーボンプラインシングのメカニズムの開発。

アジア経済統合報告書は、アジア・太平洋地域における地域協力と統合の進展、そして貿易や国境を越えた投資、金融統合や人の移動に関する状況を検証している。2023年版の同報告書によると、同地域の統合は着実に進んでおり、2020年は新型コロナウイルス感染症パンデミックにもかかわらず、安定した状態が続いた。一方、貿易の伸びは、2021年に力強い回復を見せた後、2022年には緩やかになった。                                               

ADBは、極度の貧困の撲滅に努めるとともに、豊かでインクルーシブ、気候変動や災害等のショックに強靭で持続可能なアジア・太平洋地域の実現に向け取り組んでいる。ADBは1966年に創立され、49の域内加盟国・地域を含め68の加盟国・地域によって構成されている。

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