フィリピン・マニラ(2022年4月25日) — アジア・太平洋地域が新型コロナウイルスのパンデミックに迅速に対応し、グリーンな復興を促進するために、アジア開発銀行(ADB)が2021年に自らの財源により契約締結した金額(コミットメント額)は228億ドルに達した。

本日発表されたADBの『年次報告2021』において、ADBの財務および業務の実績が公表された。この報告書では、ADBが提供する資金、知識、パートナーシップを通じて、いかにADBが開発途上加盟国を支援したかがまとめられている。

浅川雅嗣ADB総裁は、「ADBは、パンデミックによる影響への対応と長期的な開発支援が、相容れないものではないと確信している」とした上で、「我々の新型コロナウイルスへの持続的な対応により、インクルーシブで、強靭かつグリーンな復興への礎が築かれ、ADBの長期戦略であるストラテジー2030で示されている目標に向かって確実に歩みを進めている」と述べた。

2021年のコミットメント額である228億ドルには、政府および民間セクターに対する、融資および保証、無償資金、出資、技術協力が含まれる。さらに、ADBは129億ドルの協調融資を動員した。

ADBの2021年のコミットメント額のうち、59%を占める135億ドルはパンデミックへの対応に関するものであったが、保健セクターの強化をはじめとするこれらのコミットメント額の多くは、パンデミックが収束した後も長期にわたってこの地域に役立つものである。

ADBのパンデミック対応支援には、構造改革を支援し、債務の持続可能性に対処するための、各国政府に対する49億ドルの迅速な資金支援が含まれている。資金支援の内訳は、政策支援型融資が46億ドル、新型コロナウイルスのパンデミックに対応するための緊急財政支援が2億5,000万ドルだった。

パンデミック対応の一環として、開発途上加盟国のための安全で効果的なワクチンの調達と供給を可能にする、ADBの支援コミットメント額は41億ドルに達した。また、事業の継続や貿易活動を維持し、医療用品やサービスを利用できるようにするため、民間セクターに33億ドルを提供した。幅広い知識提供支援が、新型コロナウイルス感染症の対応と復興計画の指針となった。

気候変動などのより長期的な開発課題への取り組みは、引き続きADBの2021年の業務における重要な焦点となった。

「気候変動との戦いは、アジア太平洋地域にその勝敗がかかっている。それに打ち勝つために、この地域は将来の低炭素社会実現への移行を加速させる必要がある」と浅川雅嗣ADB総裁は述べた。

2030年までに累計1,000億ドルの気候変動対策資金を提供するとする、増額された新たな目標を達成するため、ADBは同地域の低炭素開発を促進するための一連の資金イニシアティブを発表した。例えば、ADBはエネルギー・トランジション・メカニズムを立ち上げ、官民の投資を活用して、石炭火力発電所の前倒しでの稼働停止、クリーンで再生可能なエネルギーソリューションの拡大、そして移行が公正かつ良心的に実現されることを確実なものとするために資金を提供する。

ADBの2021年のすべてのコミットメントには、特に女性と少女に裨益する支援内容が含まれている。ADBはまた、税制やそれに関連する改革を地域全体で支援する、アジア・太平洋税務ハブの立ち上げなどを通じて、持続可能な成長に不可欠な国内資金の動員を図る各国政府を支援する取り組みを強化した。

ADBの2021年のコミットメント額は、資本市場を通じて調達された358億ドルという、これまでで2番目に大きな規模の借入プログラムによって手当てされた。ADBは昨年、過去最大規模のテーマ型債券を売り出し、エデュケーション・ボンドや海洋保全のためのブルー・ボンドを初めて発行した。

『年次報告』では、ADBがその使命を果たすために、適切なスキルや組織の文化、構造、支援手段を確保するために進められている一連の内部改革についても詳述している。

ADBの『年次報告2021版』はフルデジタル化されており、豊富なマルチメディア・コンテンツが、モバイル端末でも利用しやすいデジタル・フォーマットでアクセス可能である。www.adb.org/ar2021/digitalを参照。

ADBは、極度の貧困の撲滅に努めるとともに、豊かでインクルーシブ、気候変動や災害等のショックに強靭で持続可能なアジア・太平洋地域の実現に向け取り組んでいる。ADBは1966年に創立され、49の域内加盟国・地域を含め68の加盟国・地域によって構成されている。

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