アジアのインフラ需要に応える: ハイライト | Asian Development Bank

アジアのインフラ需要に応える: ハイライト

出版物 | 2017年2月
アジアのインフラ需要に応える: ハイライト

これは、アジアの開発途上国における交通、電力、通信、水道・衛生などのインフラを調査し、2030年までに必要とされるインフラ需要への投資についてまとめた報告書のハイライト(主要点)である。

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開発途上にあるアジアの国・地域では、現在の経済成長を維持し、貧困問題に取り組み、気候変動に対応するには、2030年までに年間1.7兆ドルの投資が必要になると予測される。この報告書では、2030年までにインフラ整備のために必要な投資額を予測し、インフラ投資と開発の将来的な課題が分析されている。

 

要 旨

  • アジアの開発途上国・地域が、現在の経済成長を維持し、貧困を撲滅し、さらに 気候変動へも対応していくとすれば、必要な投資額(気候変動調整済み予測額: 気候変動対応への必要額を考慮した予測額)は、2016年から2030年の間に26 兆ドル、年間で1.7兆ドルである。気候変動調整前でも、22.6兆ドル、年間で1.5 兆ドルが必要となる(基本予測額)。
  • 投資予測額(気候変動調整済)のなかで分野別に最大のものは、電力で14.7兆 ドル、次は交通・運輸で8.4兆ドルである。また通信で2.3兆ドル、水・衛生分野 でも同期間に0.8兆ドルの投資が必要となる。
  • 2030年までの需要額(気候変動調整済)では、東アジアが61%を占めるが、対 GDP 比では太平洋地域が9.1%と最大の投資を必要とし、続いて南アジアの8.8%、 中央アジアの7.8%、東南アジアの5.7%となる。東アジアの投資需要は対GDP比 では5.2%である。
  • 年間の投資需要額(気候変動調整済)の1.7兆ドルは、アジア開発銀行(ADB) が2009年に予測した7,500億ドルの2倍超である。主な増加要因は、気候変動関 連投資の見積もりを含めたことにあるが、それにも増して重要な要因は、当該地 域の経済成長は引き続き高いと見込まれ、さらなるインフラ需要が生じているこ とにある。また、算定の対象となるアジアの開発途上国・地域が2009年の報告 では32カ国だったのが、今回は、ADB の全45開発途上加盟国・地域に増えたこと、 前回は2008年価格で計算したのに対し、今回は2015年価格を使用したことも増 加の要因である。
  • 一方で、当該地域の現状の年間インフラ投資額は8,810億ドルと推計される(十 分な統計データを有し、当該地域の人口の96%を占める25カ国・地域の数字)。 インフラ投資の不足、すなわち投資需要(気候変動調整済)と実際の投資水準の 差は、2016年から2020年の今後5年間のGDP 予測額の2.4% 分に相当する。
  • この投資需要見通し額(気候変動調整済)のうち、中華人民共和国(中国)の数 字を除外すれば、残り24カ国のインフラ投資不足額はGDP予測額の5%を優に超 えることとなる。しかし、これら24カ国で財政改革が進めば、GDPの2%に相当 する歳入の増加が見込まれ、インフラ投資不足額の約40%を手当てすることが 可能となる。もし残り60%の不足額(GDPの3%)を民間部門が補うとすれば、 現在の民間投資額の約630億ドルを、2016年から2020年にかけては年間2,500 億ドルに増やすことが必要となる。
  • そこで、民間の投資家にとって魅力的なインフラ投資や官民パートナーシップ (PPP)を活用した収益性のあるインフラ・プロジェクトを実現するには規制改 革が必要である。各国にはPPP関連法制の整備、PPP関連の調達・入札制度の 簡素化、紛争処理手続きの導入、PPP関連の独立した政府機関の設置など、PPP に関連する各種改革の実行が望まれる。また当該地域の豊富な貯蓄資金を生産性 のあるインフラ投資に振り向けるために資本市場をいっそう深化させることが必 要である。
  • 国際開発金融機関はアジアの開発途上国・地域におけるインフラ投資のおよそ 2.5%を支援している。中国とインドを除外すると、その比率は10%を超える。 ADBの投融資に占める民間部門のインフラ事業の割合は拡大している。その他 ADBは、優良なプロジェクトを特定し、計画し、実行できる専門能力や知識を 提供するなど、資金提供以外でもアジアで重要な役割を果たしている。また、事 業を拡大するとともに、より進んだ、よりクリーンな技術のプロジェクトへの適 用、そして各種手続きの簡素化を進めており、投資をしやすくする政策とともに、 規制や制度の改革を促していく。

Contents 

  • 要 旨
  • アジアの開発途上国・地域の経済成長と貧困削減においてインフラが果たす重要な役割
  • 2つのシナリオの予測額:(i) 基本予測額、(ii) 気候変動調整済み予測額(基本予測額に気候変動緩和・適応に必要なコストを加算)
  • データについて
  • 持続可能な開発目標の達成に向けたインフラ投資の促進
  • インフラ投資へのファイナンス
  • 民間参入の促進および制度能力の強化
  • 国際開発金融機関の役割
  • 参考文献
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